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cforms IIのGPLライセンス問題勃発!WordPress界隈で論争!事の顛末・・・

cforms IIのGPLライセンス問題勃発!WordPress界隈で論争!事の顛末・・・

いつものようにWordPressの管理画面を開き、プラグインをチェックしていると、以下のようなメッセージがcforms IIに表示されているのが目についた。単なる自動アップグレードのお知らせかと思いきや、「特別な状況のため、cformsはwordpress.orgではもう利用できなくなった」と書かれていたからびっくりした。

cforms II 注意書き

ご存じのとおり、当サイトでも複雑なお問い合わせフォームを作成するプラグイン cforms IIでこのプラグインを紹介し、cforms II 日本語翻訳ファイルも提供している。

WordPressの公式プラグインディレクトリでも、cforms IIは常にMost Popular(最も人気のある)プラグインとして表示されていた有名なプラグインで、機能拡張のアップデートも頻繁に行われていた。それが突然、WordPressの公式プラグインディレクトリから姿を消したのだ。

事の発端は、King Ratさんの書いたcforms II does not use a GPL compatible license – King Rat、この記事からだった。

cforms IIはGPLに準拠したライセンスを使用していない
「cforms IIはGPLに準拠したライセンスを使用していない」

記事を簡単にまとめるとこうだ。

King Ratさんが友人のウェブサイトをセットアップするのを手伝っていると、コンタクトフォームをインストールしてくれ、と頼まれ、WordPressのプラグインディレクトリからcforms IIをインストールした。すると、コンタクトフォームの下に表示されているリンクに気づき、そのリンクを表示させたくない、と考えた。しかし調べてみると、cforms IIはGPLライセンスに準拠していなかった。WordPress公式サイトのプラグインディレクトリはGPLに準拠したプラグインのみ登録できるはずなのに、GPLではないcforms IIがプラグインディレクトリに登録されているのはどういうことか?、と問題となる記事を書いた。

コンタクトフォーム下のリンク
「お問い合わせフォームの下に表示されるクレジットリンク」

この記事を受けて、cforms IIはWordPress.orgのプラグインディレクトリから削除されることになった。そして、King Ratさんの記事のコメント欄やブログなどを中心にこの問題が賛否両論を巻き起こした。

プラグイン作者の方を擁護する声は多く、大変便利なプラグインなので、たとえGPLに準拠していなくても、作者の方へのリンクを表示するくらい、いいじゃないか、なんでそんなことを言うんだ!と皆声を荒げた。

このクレジットリンクの問い合わせはかこれまでにも数多くあったようで、cforms II の作者の方は、このクレジットリンクに関して____LINK_LOVE_CREDITS.txtというファイルを同梱させていた。cforms 10.1までに同梱されていたその____LINK_LOVE_CREDITS.txtを見てみると、そこには、リンクに関して4つのオプションが用意されていることが書かれている。

  • クレジットリンクをそのまま表示させる。
  • Ajaxを使用しないでcformsを使用する。(リンクを消すとAjaxが使用できなくなる)
  • サイトの別の場所にリンクを張る。
  • 作者のAmazonのウィッシュリストから何かを購入する。

これを見ても分かるように、基本はリンクを表示させたい、ということだった。これは何もcforms IIに限った話ではなく、プラグインによってはリンクを表示したり、ソースにアドレスを記入したりと、いうことはよくある。

問題なのは、cforms IIという大変有名なプラグインがGPLに準拠しないまま、WordPressのプラグインディレクトリに掲載されていたということだ。WordPress本体がGPLライセンスということもあり、プラグインディレクトリ掲載のメイン条件の一つがGPL準拠であった。

そのため、もっともな意見として、cforms IIがプラグインディレクトリから外れたのは仕方のないことだ、という声もささやかれた。しかし、大変便利なプラグインなのは周知の事であり、プラグインディレクトリから消えたことを惜しむ声が圧倒的であった。

そして、一夜が明け、cforms II 10.2がリリースされた。なんと、cforms IIは完全なGPL準拠となって作者のページからダウンロード可能となった。作者の方は優しいメールやサポートに感謝し、ユーザーのために方針を転換した、ということだ。なお、WordPressの公式ディレクトリへの再掲載はまだ確認していないが、恐らく再度掲載されるのではないだろうか。

以上が今回のcforms IIのGPLライセンス問題の事の顛末だ。

私もいくつかプラグインを作成しているので他人事ではないな、と思いながら見ていた。同じような問題はテーマやプラグインを販売する時にも生じる話だ。ライセンスの問題は非常に難しく、オープンソースをビジネスにするということのリスクとしてとらえる必要もあるかもしれない。

しかし、GPLというオープンソースのライセンスがあったからこそ、WordPressがここまで成長したのは事実だろうし、オープンソースだからこそみんなで協力してきたのだと思う。これだけすごいソフトウェアを無料で使えることに感謝し、少しでも還元したいという思いで私もプラグインやテーマの公開、WordPressの情報提供を行っている。

色々な側面から物事を見る必要があると思うが、こうしたオープンソースのライセンスの問題は常に頭に入れておきたいものである。

One comment

  1. はじめまして。
    いままさに僕もcformの恩恵にあやかろうとしていただけに
    こういうことがあったなんてビックリしました。
    ライセンスの話って難しいですね・・

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